第114回第2言語習得研究会(関東)
◆ 日時: 2023年10月28日(土) 13:00~16:10(開場12:30)
◆ 場所: お茶の水女子大学 共通講義棟1号館301
★ 会場にご注意ください! 大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg
土曜のため、正門(東門)しか開いていません。
正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。
*学内マップ;http://www.ocha.ac.jp/help/campusmap_l.html#no1 (15番の建物です)
◆ 事前申し込みは不要です。
◆・参加費2000円 注)今回の参加費をお支払いいただくことで、今年度(10月、2月)の研究会参加が可能となります。また、6月の研究会に参加いただいた方は無料になります。
◆ プログラム
【開会の挨拶】13:00~13:05
【研究発表】13:05~13:45
1. 13:05〜13:45
大山 理惠(おおやま りえ) 同志社大学 嘱託講師
「動詞活用形と複合語アクセント習得に関する一考察」
2. 13:45〜14:25
清水 郷美(シミズ サトミ) お茶の水女子大学 大学院生
「コーパスの用例に見る補助動詞「てしまう」の意味的特徴――動きの意志性に着目して――」
【休憩時間】15分(14:25〜14:40)
【講演】14:40〜16:10
【講演】玉岡 賀津雄先生
「決定木を使った第二言語習得研究ー中国人日本語学習者による①人を表す接尾辞と②和語同士の連語の習得ー」
(要旨)決定木分析(SPSS, Decision Trees)は,第二言語習得における研究対象の諸特性および習熟度を同時に考察することができる点で優れている。予測する変数の特性によって,分類木分析と回帰木分析に2種類に分けられる。正答者数を頻度として予測するのが分類木分析である。正誤を1と0のダミー変数として予測するのが回帰木分析である。講演では分類木分析を使った接尾辞の習得と回帰木分析を使った連語の習得の2つの研究を,Decision Treesで分析しながら解説する。
【接尾辞の習得】
中国人日本語学習者200名を対象に,日本語の人を表す接尾辞をつけた派生語の理解に影響する要因を検討した。(1)派生語が日中同形であるかどうか,(2)「人」「者」「員」「家」の4種類の接尾辞,(3)語基の難易度,(4)読解力,の4つの要因を設定した。派生語の正誤の回答者数を予測する分類木分析を行った結果,中国語に同形語があるかどうかが強く影響した。さらに,中国語に同形語がある場合には,語基の難易が,同形語がない場合には接尾辞の種類が,正誤の判断に影響した。読解力は,同形語の無い「者」を付加した派生語の理解に影響するのみであった。
【連語の習得】
中国人日本語学習者82名を対象に,日中同形同義語(S語)を目的語とする和語動詞の動詞句(連語)の習得に,どのような要因が関わるかを検討した。対象語は和語動詞で,中国語にも同じ漢字が含まれているか否か(共有:「誤解を招く」・「招致误解」、非共有:「注目を集める」・「引起注目」)を基準に各14語(計28語)を選定してテストを作成した。連語の正誤を,正しい場合を1,誤った場合を0とするダミー変数として,(1)漢字共有の有無,(2)日本語での連語の使用頻度,(3)日本語での和語動詞の使用頻度,(4)中国語でのS語の使用頻度,(5)日本語でのS語の使用頻度,(6)日本語習熟度,の6つの変数で予測した。その結果,(6)日本語習熟度が連語習得に最も強く影響した。さらに上位群は,(2)連語の使用頻度が影響したのに対して,中・下位群では,(1)漢字共有の有無が有意な予測変数となり,漢字が共有される場合は(2)連語の使用頻度が影響した。