◆ 日時: 2022年2月19日(土) 13:00-16:50
◆ 場所: オンライン(Zoom)
★既に会費を納めた方も参加申し込みが必要(申し込まれた方のみにzoom情報を伝えるためです)
◆ 参加費:1000円
注)6月,10月の研究会にご参加いただいた方は無料となります。
◆ 参加申込方法
1)以下の口座に参加費1000円を振り込む
ゆうちょ銀行
記号 10180-2
番号 76641991
名前 ダイニゲンゴシュウトクケンキュウカイ(カントウ)
他金融機関からの入金
店名 〇一八(ゼロイチハチ)
店番 018
預金種目 普通預金
口座番号 7664199
恐れ入りますが振込手数料等が発生する場合は振込者がご負担ください。
2)以下のURLに入り、参加申し込みと入金を完了する
申込締切日 : 2月17日(木)正午
(参加希望者多数の場合は募集締め切り日よりも早く応募を締め切る場合があります。)
URL:https://forms.gle/FFLgFmXZE8FSWKoE7
3)振込確認後ご記入いただいたメールアドレスに研究会のZoomのID、PWと配布資料を送付。
送付予定: 2月18日(金)夜までに
注)参加に必要な環境(Zoomアカウント、PC、インターネット環境など)は各自ご準備ください。
◆ プログラム
【開会の挨拶】13:00-13:05
【研究発表】13:05-16:50
1. 13:05-13:35
松下瑛里夏(マツシタ エリナ) 上智大学 大学院生(博士後期課程)
「内容中心/文法中心のライティングフィードバックが流暢さと正確さに与える影響―TTT(Task-Teach-Task)型の授業実践から―」
2. 13:35-14:05
姚 新宇(ヨウ シンウ) 東北大学 専門研究員
菅谷 奈津恵(スガヤ ナツエ) 東北大学 教授
「慣用句の親密度と透明度の関係―中国人日本語学習者と日本語母語話者の比較を中心に―」
3. 14:05-14:35
管晶(カン ショウ) お茶の水女子大学大学院 大学院生(博士前期課程)
「日本語母語話者と中国語母語話者の事態把握―「〜てくる」と“V来”の意味用法とその使用傾向の比較を通して―」
4. 14:35-15:05
清水 郷美(シミズ サトミ) お茶の水女子大学大学院 大学院生(博士前期課程)
「コーパスの用例を基盤とした補助動詞「てしまう」の意味分析」
【休憩時間】15分
5. 15:20-15:50
孫守乾(ソン シュケン) 東京都立大学 大学院生(博士後期課程)
「中国の日本語専攻教育における論文指導の実態と課題―先行研究の章に対する指導への考察より―」
6. 15:50-16:20
張桐(チョウ トウ) 所属なし
「接触場面における「再勧誘」行動に関する研究―中・日母語場面との比較から―」
7. 16:20-16:50
Shekarabi Zeinab (シェキャラビ ゼイナブ) University of Tehran Assistant professor (助教授)
Fatemeh Tajfirooz (タジュフィールーズ ファテメ) University of Tehran 大学院生
「イラン人日本語学習者の漢字学習に関する検証」
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◆要旨
【研究発表】
1. 松下瑛里夏(マツシタ エリナ)
「内容中心/文法中心のライティングフィードバックが流暢さと正確さに与える影響―TTT(Task-Teach-Task)型の授業実践から―」
先行研究によると、文法面へのフィードバックは正確さを延ばす効果があるが、文章量が短くなり流暢さを抑えてしまう傾向もあると指摘されている(Oi et al, 2000等)。したがって、文法面と内容面をバランスよく向上させるためにはどのような工夫が有効か検討していく必要があるだろう。そこで本研究では、授業内に内容中心のフィードバックを与え、授業外に文法中心のフィードバックを与えた場合、流暢さと正確さにどのように影響するのかを調査した。その結果、内容中心のフィードバックのみを与えた場合には流暢さのみが向上したが、内容面と文法面のフィードバックを両方与えた場合には流暢さと正確さが共に向上した。この結果から、タイミングをずらして内容面と文法面のフィードバックを与えることは両側面を同時に伸ばしていくために有効な一つの方法だと考えられる。また、TTT(Task-Teach-Task)型の授業構成によるライティング授業の学習効果について考察した。
2. 姚 新宇(ヨウ シンウ)
菅谷 奈津恵(スガヤ ナツエ)
「慣用句の親密度と透明度の関係―中国人日本語学習者と日本語母語話者の比較を中心に―」
本研究は学習者と母語話者の慣用句の処理に相違があるかどうかを検討することを目的とする。中国人日本語学習者57人、母語話者79人に、慣用句26句の親密度、透明度を判断する質問紙調査を行った。親密度の質問紙では、慣用句を聞いた/見たことがあるかを5段階で回答させた。透明度の質問紙では、文字通りの意味と慣用句の意味を提示し,両者がどのぐらい関連しているかを5段階で判断させた。分析の結果、学習者の親密度と透明度の間には中程度の相関(r = .508, p =
.008)があったが、母語話者の相関は弱かった(r = .354, p = .076)。学習者は親密度が上がるにつれ、文字通りの意味と慣用句の意味の関連を見つけようとするため、透明度が高くなったと思われる。一方、母語話者は文字通りの意味から慣用句を考える必要がないため、親密度の上昇は透明度の判断への影響が少なかったと考えられる。
3. 管晶(カン ショウ)
「日本語母語話者と中国語母語話者の事態把握―「〜てくる」と“V来”の意味用法とその使用傾向の比較を通して―」
我々はよく自分の慣れ親しんでいる母語の語り方で事態を表現する。その背後には、それぞれの母語話者が共通に持っている認識(事態把握)のしかたが潜んでいると考えられる。主観的な事態把握のしかたを反映している補助動詞「〜てくる」と形式上それに対応する中国語の単純方向補語の“V来”の意味用法とその使用傾向を日中対訳小説により比較した結果、両者間で基本的に対応している「移動の方向性」と、基本的に対応しない「行為の方向性」、「状態変化の過程」では、同じ事態に対して、日本語は「〜てくる」を好んで使っているのに対し、中国語は“V来”を使っても意味上、構文上問題がないにもかかわらず、それを省略したり、他の客観的な表現を使ったりする傾向が見られた。一方、話し手の臨場感を反映している“V来”のみが持つ用法である「推量」では、日本語は「そうだ」のような客観的な表現を使う傾向が見られた。
4. 清水 郷美(シミズ サトミ)
「コーパスの用例を基盤とした補助動詞「てしまう」の意味分析」
日本語の補助動詞「てしまう」の意味は、多数の内省分析が行われてきたものの、未だ十分に解明されていない。大部分の研究が「てしまう」にはアスペクト的意味とモダリティ的意味が認められるとしているが、基本義や意味拡張の解釈等について相容れない見解が並立している状況である。そこで、本研究ではコーパス駆動型の意味研究方法を採用し、用例に現れる「てしまう」とその前後の文脈の特徴を数値化し、統計解析を行った。その結果、モダリティ的意味を中心とした語義の配置図が得られたが、同時に、先行研究で多様な語義が提出されてきたにもかかわらず、「てしまう」の多義性の程度はそれほど大きくないとの結果も得た。また、従来モダリティ的とされてきた語義には、モダリティというより、前接するテ形動詞句が表す意味との共起関係によって説明されるべきものがあることが判明し、従来とは異なる角度からの解釈の可能性が示唆された。
5. 孫守乾(ソン シュケン)
「中国の日本語専攻教育における論文指導の実態と課題―先行研究の章に対する指導への考察より―」
先行研究の章は、研究のオリジナリティが見出せるため重要とされる。本研究では、中国の同レベルの2大学における、日本語教員3名が指導した卒業論文から14編を抽出し、初稿から最終稿までにおける先行研究の指導箇所を分析した。さらに、教員へのインタビューにより、指導の実態と課題を考察した。結果として、指導歴10年以下である2名の教員が指導した計9編の論文では、先行研究が書かれていないことが分かった。具体的に、先行研究の章の欠如や、章の内容が先行研究の紹介と本研究の位置づけと関係ない、文献を調べた経緯や研究の意義である。また、教員にインタビューしたところ、インターネットなどの制限で文献が集まらないこと、オリジナリティを出すための指導より、剽窃や体裁など最低限の条件を満たすための指導に多くの力を入れていること、教員の専門と違う経済・社会などの分野の論文を指導することが難しいという実情が明らかになった。
6. 張桐(チョウ トウ)
「接触場面における「再勧誘」行動に関する研究―中・日母語場面との比較から―」
本研究は、中日接触場面において口頭インタラクションによる「再勧誘」行動の実態を明らかにするものである。「再勧誘」行動を「一度相手を勧誘したが、勧誘される側は躊躇する態度を示した時、勧誘する側から再び勧誘したり働きかけたりして、自分の意図する方向に説得しようとする行為」と定義し、ロールプレイの手法でデータを収集し、発話数レベル、「談話」「話段」「発話」レベルの2観点から分析を行った。その結果、接触場面で学習者の談話の組み立て方は、母語の影響を受けているだけではなく、母語話者の言語使用に類似する部分も見られた。フォローアップアンケート調査の結果に併せて、学習者の「再勧誘」行動の困難点は【事情説明・確認部】の情報やりとりであると判断し、解決策を講じた。今後の課題として、協力者の人数やバリエーションを増やし、そして母語話者のコミュニケーション活動や支援活動を研究視野に入れる必要があると示した。
7. Shekarabi
Zeinab (シェキャラビ ゼイナブ)
Fatemeh Tajfirooz (タジュフィールーズ ファテメ)
「イラン人日本語学習者の漢字学習に関する検証」
日本語能力を向上させるためには漢字学習が不可欠であるが、アルファベット文字体系であるペルシア語を母語とするイラン人学習者にとって異なる文字から成る日本語を習得することは非常に困難である。イランの日本語教育では、初級で平仮名とカタカナを短期間で習得し、頻出度に基づいて漢字が教えられる。すなわち、授業中に出てきた漢字を教師が説明し、その他の漢字については学習者自身に委ねられている。そこで、本研究では外国語として日本語を学ぶ(JFL)イラン人学習者の漢字学習の課題や学習方法について検証する。まず、質問紙を使用して漢字学習の課題や意識、学習方法を調査した。その結果、学習者にとって、漢字の音が最も課題であり、漢字学習自体を難しいと感じているものの、同時に面白いとも感じており、繰り返し書いて漢字を覚えていることが明らかになった。本研究では、非漢字圏日本語学習者に対する日本語教育の新たな視点を提案する。
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