第102回第2言語習得研究会(関東)

日時: 2019年2月16日(土)  13:30~16:20


◆ 場所: お茶の水女子大学 文教育学部1号館 第一会議室
★ 会場にご注意ください! *大学まで;http://www.ocha.ac.jp/common/image/access_map2.jpg

   土曜のため、正門(東門)しか開いていません。

   正門は春日通り沿いですので、最寄り駅は丸の内線の茗荷谷駅になります。

*学内マップ;http://www.ocha.ac.jp/help/campusmap_l.html#no1(4番の建物です)

 

◆ 事前申し込み:不要

 

参加費:1,000円

(6月,10月の研究会に参加いただいた方は無料となります。)

 

◆ プログラム
【研究発表】13:30-14:50

1. 13:30-14:10
陳夢晰 お茶の水女子大学 大学院生
中国人日本語学習者の語彙的複合動詞の意味推測に影響する要因-「文脈情報」と「意味的透明性」を中心に-

 

2. 14:10-14:50

鈴木小百合 神田外語大学 専任講師/グアダラハラ大学 客員講師
メキシコ・グアダラハラ都市圏内在住日系人の日本語能力について

【ご講演】 15:20-16:20
橋本 ゆかり先生(横浜国立大学)
さらにその先にある研究の方向性と道筋」
◆ 要旨
【研究発表】
1.陳夢晰
中国人日本語学習者の語彙的複合動詞の意味推測に影響する要因-「文脈情報」と「意味的透明性」を中心に-」 
本研究では,中国人日本語学習者を対象に,未知の語彙的複合動詞の意味を推測する際に「意味的透明性」と「文脈情報」が与える影響を明らかにするため,質問紙調査を行った。分析の結果,学習者が未知の語彙的複合動詞を推測する際,文脈がないより,文脈があったほうが正確に意味を推測できることと,意味的透明性が低い語と比べて,意味的透明性が高い語のほうが正確に意味を推測できることが明らかになった。さらに,意味的透明性が低い語のほうが文脈への依存度が高いこと,文脈が利用できない場合,意味推測の正確さは意味的透明性からの影響をより大きく受けているが,文脈が利用できる場合,意味的透明性の影響は弱くなることが示唆された。 
2.鈴木小百合
メキシコ・グアダラハラ都市圏内在住日系人の日本語能力について
本研究は、20182月から8月にかけて実施されたグアダラハラ圏内日系人口調査の中から、日系人の日本語能力についての結果を分析、考察し、今後の継承語としての日本語学習及び保持に役立つ知見を得ることを目的としたものである。新旧世代ごとの「日本語の知識」「技能別日本語能力」「日本語学習への興味」「目的」「学習機関」についてのデータを分析した結果、次のような示唆が得られた。まず、4技能のバランスを保つために、テキストを使用した教育機関による体系的かつ継続的な日本語教育が必要である。次に各人の学習目的を考慮し、日本文化や歴史を学び、体験する学習活動を採り入れた参加型学習の充実が望まれる。そして、地域の日系コミュニティを活性化し、日本語の使用機会を創出することは、学習への動機づけとともに実践的な能力の発達につながり、より高度な運用能力の獲得が期待されると考えられる。    
 
【ご講演】
橋本ゆかり先生
さらにその先にある研究の方向性と道筋」
言語の習得は学習者自らが能動的にルールを生成するといわれます。語彙としての学習からルール生成へとどのようにつながっていくのでしょうか。発表者は、認知言語学の用法基盤モデルを援用し、日本語を第二言語とする子どもの、テンス・アスペクト、可能、否定、助詞、願望表現、理由表現、全部否定表現など多様な文法カテゴリーについて探究し、『用法基盤モデルから辿る第一言語・第二言語の習得段階』(風間書房)において「スロット付きスキーマの合成仮説」を提示しました。本講演では、得られた知見を紹介するとともに、日本語を第一言語とする子ども、そして日本語を第二言語とする大人(コーパスデータ)とどのように異なるのか、これら3者間の違いは何によって生じるのかについてお話します。